あまりにも壮絶。黒社会に生きる關剣平の原動力となったものは誰にも否定できないものだし、一方「敵」の目的は結局そういうことかと読んでいて無性に腹が立つ。その両者に相対する特捜部が感じたものを含め、いろんな怒りを感じます。
読んでると今のリアルな社会情勢とあまりにもリンクしすぎており、その意味でもやりきれない思いに満たされながら読み終えました。
一言付け加えたいのは、桂主任がえらくかっこいい。
あまりにも壮絶。黒社会に生きる關剣平の原動力となったものは誰にも否定できないものだし、一方「敵」の目的は結局そういうことかと読んでいて無性に腹が立つ。その両者に相対する特捜部が感じたものを含め、いろんな怒りを感じます。
読んでると今のリアルな社会情勢とあまりにもリンクしすぎており、その意味でもやりきれない思いに満たされながら読み終えました。
一言付け加えたいのは、桂主任がえらくかっこいい。
多重解決ものだけれど、単に謎解きがくるくるとひっくり返っていくというのではなく、それぞれの解決にきちんと必然性があって物語と融合しているなんて、あまり出会ったことがないかも。書名が事件の核心をあらわしていたという点も衝撃的。これはすごいな。
多重解決ものだけれど、単に謎解きがくるくるとひっくり返っていくというのではなく、それぞれの解決にきちんと必然性があって物語と融合しているなんて、あまり出会ったことがないかも。書名が事件の核心をあらわしていたという点も衝撃的。これはすごいな。
サイボーグ、電脳化、記憶の書き換え、AIとこころ、といったSFで取り上げられる技術を実現するために、人間は、そして脳はどんな仕組みで動いているのかを解き明かし、その実現のためにクリアすべき課題は何かを説明してくれる一冊。
こりゃ無理だなぁという気になるけど、著者はそうは考えていないあたりが素敵な本です。読んでて楽しい。
サイボーグ、電脳化、記憶の書き換え、AIとこころ、といったSFで取り上げられる技術を実現するために、人間は、そして脳はどんな仕組みで動いているのかを解き明かし、その実現のためにクリアすべき課題は何かを説明してくれる一冊。
こりゃ無理だなぁという気になるけど、著者はそうは考えていないあたりが素敵な本です。読んでて楽しい。
そもそも英米での翻訳文学へのニーズが高まっているという背景があって、そこにピタリとマッチした日本文学(やラテンアメリカ文学)という図式かな。もともと翻訳が盛んな日本は恵まれた環境なのかもしれない。
英米での若い読者の翻訳文学人気は保守化、排外主義、内向志向への反動、という指摘は何かちょっと光のようなものを感じさせてくれます。
文芸好きにはおすすめの一冊です。読むべし。
そもそも英米での翻訳文学へのニーズが高まっているという背景があって、そこにピタリとマッチした日本文学(やラテンアメリカ文学)という図式かな。もともと翻訳が盛んな日本は恵まれた環境なのかもしれない。
英米での若い読者の翻訳文学人気は保守化、排外主義、内向志向への反動、という指摘は何かちょっと光のようなものを感じさせてくれます。
文芸好きにはおすすめの一冊です。読むべし。
まずは一、ニ巻。『旧校舎怪談』これは顔見せという感じ、『人形の檻』になるとホラー色が濃くなります。謎を追いかけてゆく過程はしっかりとミステリー的でもあり、もとが少女小説と侮るなかれ。
まずは一、ニ巻。『旧校舎怪談』これは顔見せという感じ、『人形の檻』になるとホラー色が濃くなります。謎を追いかけてゆく過程はしっかりとミステリー的でもあり、もとが少女小説と侮るなかれ。
この夏季休暇中に一気読み。徹底的にエンターテインメントとして作り込まれています。主人公たちだけでなく、それを取り巻く周辺の人たちまでもが、しっかりと描かれており、読み手の気持ちを揺さぶってくる一作。
ネトフリのドラマも観てますが、これが別物。小説が山田風太郎の血脈を受け継ぐスーパー活劇なのに対し、ドラマは見せどころを剣戟アクションに特化した形にアレンジ。実写ドラマとして見せるにはこれが正解。
ドラマを先に見ていたため頭のなかの映像はドラマのキャスティングだったのですが、三冊目だけはなぜか石川賢がマンガに描いたイメージで進行していました。
この夏季休暇中に一気読み。徹底的にエンターテインメントとして作り込まれています。主人公たちだけでなく、それを取り巻く周辺の人たちまでもが、しっかりと描かれており、読み手の気持ちを揺さぶってくる一作。
ネトフリのドラマも観てますが、これが別物。小説が山田風太郎の血脈を受け継ぐスーパー活劇なのに対し、ドラマは見せどころを剣戟アクションに特化した形にアレンジ。実写ドラマとして見せるにはこれが正解。
ドラマを先に見ていたため頭のなかの映像はドラマのキャスティングだったのですが、三冊目だけはなぜか石川賢がマンガに描いたイメージで進行していました。
戦前の探偵小説作家のそれをアップデートしたような独特の文体で書かれた物語はどれも恐ろしい。気がつくと読者も描かれた恐怖の中に巻き込まれている感覚に包まれる。幻想小説かつホラー小説である本作、これまでに読んだなかでトップクラスに怖い、本当に怖い。
戦前の探偵小説作家のそれをアップデートしたような独特の文体で書かれた物語はどれも恐ろしい。気がつくと読者も描かれた恐怖の中に巻き込まれている感覚に包まれる。幻想小説かつホラー小説である本作、これまでに読んだなかでトップクラスに怖い、本当に怖い。
こちらに敵意を持つ存在に侵略されているにもかかわらず、記憶することも記録に残すこともできない、ってのはこれ以上になく厄介で恐ろしい。認識するということをテーマとしたSFホラーとして楽しめます。
何かを思い起こさせるなぁと思ったけどあれだ、右園死児っぽいか。
こちらに敵意を持つ存在に侵略されているにもかかわらず、記憶することも記録に残すこともできない、ってのはこれ以上になく厄介で恐ろしい。認識するということをテーマとしたSFホラーとして楽しめます。
何かを思い起こさせるなぁと思ったけどあれだ、右園死児っぽいか。
何がすごいって、被害者から探偵から犯人、おそらくは作者までがミステリー好きをこじらせまくっているところ。あれやこれやと詰め込まれており、新本格を通ってきたミステリーファンにはいろんな意味で堪えられないのではないでしょうか。
あぁ楽しかった。
何がすごいって、被害者から探偵から犯人、おそらくは作者までがミステリー好きをこじらせまくっているところ。あれやこれやと詰め込まれており、新本格を通ってきたミステリーファンにはいろんな意味で堪えられないのではないでしょうか。
あぁ楽しかった。
おおむね90年代以降の日本のホラー映像作品を取り上げた一冊。名だたる作品が取り上げられており、それぞれが何をテーマにし、どう怖がらせてきたのかというのが、よくわかります。
ぼく自身ホラー小説はよく読むのですが、この本で取り上げていたものでは女優霊とリングしか観てないです。他の作品を観るかと言ったら観ません、怖いから。
おおむね90年代以降の日本のホラー映像作品を取り上げた一冊。名だたる作品が取り上げられており、それぞれが何をテーマにし、どう怖がらせてきたのかというのが、よくわかります。
ぼく自身ホラー小説はよく読むのですが、この本で取り上げていたものでは女優霊とリングしか観てないです。他の作品を観るかと言ったら観ません、怖いから。
再読になるし映画も観てるので内容はわかってたんですが、鬼首村の地図やら由良家や亀の湯の間取りが頭のなかに浮かんでくるので、プラスアルファな楽しみがありました。
『金田一耕助の間取り』、副読本として最適です。
一柳家、鬼頭家、田治見家、犬神家、バー黒猫に日の出団地まで。その見取り図やら周囲の地図やらが満載でそれだけで買いでしょう。ネタバレを回避しつつ、ストーリーや建物の解説をしてくれる本文も心地よく読める。こりゃあいい本だ。
再読になるし映画も観てるので内容はわかってたんですが、鬼首村の地図やら由良家や亀の湯の間取りが頭のなかに浮かんでくるので、プラスアルファな楽しみがありました。
『金田一耕助の間取り』、副読本として最適です。
一柳家、鬼頭家、田治見家、犬神家、バー黒猫に日の出団地まで。その見取り図やら周囲の地図やらが満載でそれだけで買いでしょう。ネタバレを回避しつつ、ストーリーや建物の解説をしてくれる本文も心地よく読める。こりゃあいい本だ。
一柳家、鬼頭家、田治見家、犬神家、バー黒猫に日の出団地まで。その見取り図やら周囲の地図やらが満載でそれだけで買いでしょう。ネタバレを回避しつつ、ストーリーや建物の解説をしてくれる本文も心地よく読める。こりゃあいい本だ。
『ヤンキーと地元』を読んだなら、こちらもと思って、手にしました。読み終えたけれど、書かれた内容に圧倒されて、自分の頭のなかにあることを言葉にすることができないでいます。
この2冊、読んだほうがいい。
『ヤンキーと地元』を読んだなら、こちらもと思って、手にしました。読み終えたけれど、書かれた内容に圧倒されて、自分の頭のなかにあることを言葉にすることができないでいます。
この2冊、読んだほうがいい。
ヤンキー的な社会って多かれ少なかれどこにもあるよな、と思いながら読み始めたものの、ここに示された沖縄の実情はその上下関係のあり方、金銭感覚、暴力感等々おそろしく濃密で圧倒的でした。
社会学者である著者が沖縄のヤンキー社会の実情を描いた本書はルポルタージュ的な側面が強いけれど、パシリとしての参与観察を論じた巻末の補論が読み応えあり。「つかえない内部関係者」としての調査者という観点は目からウロコが落ちる、でした。
それにしても著者が早逝されているのが本当に残念。
ヤンキー的な社会って多かれ少なかれどこにもあるよな、と思いながら読み始めたものの、ここに示された沖縄の実情はその上下関係のあり方、金銭感覚、暴力感等々おそろしく濃密で圧倒的でした。
社会学者である著者が沖縄のヤンキー社会の実情を描いた本書はルポルタージュ的な側面が強いけれど、パシリとしての参与観察を論じた巻末の補論が読み応えあり。「つかえない内部関係者」としての調査者という観点は目からウロコが落ちる、でした。
それにしても著者が早逝されているのが本当に残念。
インパクトの強さは前作の「口」におよばないけれど、視線をテーマとした怖さはかなりのものです。3つの話が最終話で1つにまとまり不穏な終わり方を迎えるあたり、なかなかにイヤな感じです。
インパクトの強さは前作の「口」におよばないけれど、視線をテーマとした怖さはかなりのものです。3つの話が最終話で1つにまとまり不穏な終わり方を迎えるあたり、なかなかにイヤな感じです。
まずは間に織り込まれる怪談パートがどれも怖い。でもって、それらの話をとおして見えてくる村の秘密が相当にえげつない。「くしゃ」という音の真実が…
そんな話なもんで、爽快感すら感じるバッドエンドという終わり方が素敵です。
まずは間に織り込まれる怪談パートがどれも怖い。でもって、それらの話をとおして見えてくる村の秘密が相当にえげつない。「くしゃ」という音の真実が…
そんな話なもんで、爽快感すら感じるバッドエンドという終わり方が素敵です。
「幽霊屋敷シリーズ」の三作目、今回は幽霊の出る家ではなく「家の幽霊」。だからでしょうか、前2作とは少々色合いが違う印象です。シリーズをとおしてのメタフィクションとしての仕掛けをぶっ込んできた感じでした。とはいえ、全体の大半を占める一話目はストレートに怖いよ。
「幽霊屋敷シリーズ」の三作目、今回は幽霊の出る家ではなく「家の幽霊」。だからでしょうか、前2作とは少々色合いが違う印象です。シリーズをとおしてのメタフィクションとしての仕掛けをぶっ込んできた感じでした。とはいえ、全体の大半を占める一話目はストレートに怖いよ。
国立民俗学博物館が大学院を兼ねた研究施設だとは知りませんでした。そこに属する研究者へのインタビューを中心に「みんぱく」の魅力が読み手に熱く伝わる一冊。皆さん、個性的でいらっしゃる。
「みんぱく」には一度だけ行ったことがあります。最初のオセアニア区域で、おぉ諸星大二郎だ、マッドメンだ、と一気にテンションが上がったまま3時間くらいかけて展示を巡り、観終えた感想が「ヤバい、ずっとここに居れる」でした。また行きたいけど、大阪は遠い…
国立民俗学博物館が大学院を兼ねた研究施設だとは知りませんでした。そこに属する研究者へのインタビューを中心に「みんぱく」の魅力が読み手に熱く伝わる一冊。皆さん、個性的でいらっしゃる。
「みんぱく」には一度だけ行ったことがあります。最初のオセアニア区域で、おぉ諸星大二郎だ、マッドメンだ、と一気にテンションが上がったまま3時間くらいかけて展示を巡り、観終えた感想が「ヤバい、ずっとここに居れる」でした。また行きたいけど、大阪は遠い…
怪談イベントへの参加者が語った自身が体験した怖い話というのをまとめた一冊。その語り口の再現具合がちょうどいい感じなもんで、その場で一緒に話を聞いてる気になってしまうのだな。あとがきも油断するべからず、というあたり、参りました。
怪談イベントへの参加者が語った自身が体験した怖い話というのをまとめた一冊。その語り口の再現具合がちょうどいい感じなもんで、その場で一緒に話を聞いてる気になってしまうのだな。あとがきも油断するべからず、というあたり、参りました。
2人の学生がそれぞれのフィールドワーク先で出会った儀式、その真の姿が徐々に明らかになる「報告」パートとオカルト的な事象に関する資料が提示される「スクラップ」パートから構成されます。
謎が資料によって肉付けされていく様子はそのバランスが絶妙。「スクラップ」パートのおかげか、ホラー小説にしては客観的で静かな空気感があるのが、ちょっと独特でした。
2人の学生がそれぞれのフィールドワーク先で出会った儀式、その真の姿が徐々に明らかになる「報告」パートとオカルト的な事象に関する資料が提示される「スクラップ」パートから構成されます。
謎が資料によって肉付けされていく様子はそのバランスが絶妙。「スクラップ」パートのおかげか、ホラー小説にしては客観的で静かな空気感があるのが、ちょっと独特でした。
とにかくひとつひとつのエピソードがホラー短編として上質で、それだけで満足度が高いです。そのうえで思いもよらぬ方向に話が収斂していきます。最後はコズミックホラーぽくなるのですが、個人的にはこういう構成が好き。意味不明なタイトルもいいな。
典型的なモキュメンタリー形式のホラー小説としては行き着いた感がある印象です。モキュメンタリーという形式はもういいんじゃね?と思ってましたが、まだまだスゴイのが出てくるんだなぁ。
とにかくひとつひとつのエピソードがホラー短編として上質で、それだけで満足度が高いです。そのうえで思いもよらぬ方向に話が収斂していきます。最後はコズミックホラーぽくなるのですが、個人的にはこういう構成が好き。意味不明なタイトルもいいな。
典型的なモキュメンタリー形式のホラー小説としては行き着いた感がある印象です。モキュメンタリーという形式はもういいんじゃね?と思ってましたが、まだまだスゴイのが出てくるんだなぁ。
読んでいて違和感を感じたところが後々回収されていったところはお見事。まぁフェアかというと微妙ではありますが。
読者への挑戦状の使い方は一本取られた感じ。推理クイズに出てきそうなトリックも含め、古典ミステリーを思わせ、何か懐かしさを感じました。
読んでいて違和感を感じたところが後々回収されていったところはお見事。まぁフェアかというと微妙ではありますが。
読者への挑戦状の使い方は一本取られた感じ。推理クイズに出てきそうなトリックも含め、古典ミステリーを思わせ、何か懐かしさを感じました。
『鬼神の檻』のエンタメ感にやられて、すっかりファンになったのですが、今回はどストレートな本格ミステリー。
アガサ・クリスティーへのオマージュに満ちた展開から、終盤のひっくり返し方がとても良い。ミステリー作家の矜持が謎を解く、ってのが美しいなぁ。
『鬼神の檻』のエンタメ感にやられて、すっかりファンになったのですが、今回はどストレートな本格ミステリー。
アガサ・クリスティーへのオマージュに満ちた展開から、終盤のひっくり返し方がとても良い。ミステリー作家の矜持が謎を解く、ってのが美しいなぁ。
うーむ、残念ながら100%この一冊を楽しめなかった気がします。西欧方面の歴史や神話、当時の情勢なんかを知っていれば、もっと楽しめたかも。
とはいえ、冒頭の「地上の大火」や表題作、「顔無し」「〇八一号列車」あたりはかなり面白かったので、問題なしだ。
うーむ、残念ながら100%この一冊を楽しめなかった気がします。西欧方面の歴史や神話、当時の情勢なんかを知っていれば、もっと楽しめたかも。
とはいえ、冒頭の「地上の大火」や表題作、「顔無し」「〇八一号列車」あたりはかなり面白かったので、問題なしだ。
この世から魔術を無くしたい魔王、魔術の使えないソウルレス、三つ首の竜王…そんなファンタジー世界を円城塔という作家が描くと円城塔以外の何物でもない世界ができあがる。こんなファンタジー世界もありかぁ、などと油断していると、ひっくり返される羽目になった。
この世から魔術を無くしたい魔王、魔術の使えないソウルレス、三つ首の竜王…そんなファンタジー世界を円城塔という作家が描くと円城塔以外の何物でもない世界ができあがる。こんなファンタジー世界もありかぁ、などと油断していると、ひっくり返される羽目になった。