ほんのちょっぴりずつの料理が盆にのって出てくる。私はこういうのは一口で食べてしまう。四つ料理があると、合計四口だ。だから味わいもあったもんではない。しかし好奇心だけは強くて、
「今のゆべしは、柚子の中にさまざまな木の実と味噌を詰めまして、軽井沢でひと冬干したものでございます」
「このたくあんは、沢庵和尚の製法どおり再現したものでございます」
などと聞くと、もう一度確認したくて、ユミの皿から奪ったりする。"
(林真理子著『旅は靴ずれ、夜は寝酒』より)
link.amazon/B0bRPFeRi
ほんのちょっぴりずつの料理が盆にのって出てくる。私はこういうのは一口で食べてしまう。四つ料理があると、合計四口だ。だから味わいもあったもんではない。しかし好奇心だけは強くて、
「今のゆべしは、柚子の中にさまざまな木の実と味噌を詰めまして、軽井沢でひと冬干したものでございます」
「このたくあんは、沢庵和尚の製法どおり再現したものでございます」
などと聞くと、もう一度確認したくて、ユミの皿から奪ったりする。"
(林真理子著『旅は靴ずれ、夜は寝酒』より)
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(松田青子著『英子の森』より)
link.amazon/B0dF0TDFy
(松田青子著『英子の森』より)
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「ねえ、そのクォーターパウンダーなんとか、ぜひ、私にも作ってもらえないかしら」"
(柚木麻子著『嘆きの美女』より)
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「ねえ、そのクォーターパウンダーなんとか、ぜひ、私にも作ってもらえないかしら」"
(柚木麻子著『嘆きの美女』より)
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かにのコロッケをするつもりで「今日はおひるは、かにコロッケだよ」と主人に宣言してしまってから、納戸を探しても台所を探しても、かに罐はなかったので、ベーコンのコロッケにした。「あれ? これ、蟹か?」と主人はけげんそうに食べる。「たしかに、かに罐が十位あると思ってた。でも探したら一つもなかった。かに罐が十位ある夢みたの」。"
(武田百合子著『富士日記』より)
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かにのコロッケをするつもりで「今日はおひるは、かにコロッケだよ」と主人に宣言してしまってから、納戸を探しても台所を探しても、かに罐はなかったので、ベーコンのコロッケにした。「あれ? これ、蟹か?」と主人はけげんそうに食べる。「たしかに、かに罐が十位あると思ってた。でも探したら一つもなかった。かに罐が十位ある夢みたの」。"
(武田百合子著『富士日記』より)
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森宮さんは回転寿司に行くと、「こんなふうにどろっと溶けてない新鮮なのを食べたい」と言いつつ、ウニばかり食べている。きっとこのウニを食べたら大喜びするはずだ。
「優子ちゃん、お寿司好きだったんだな」
「普段はそれほどなんだけど、すごくおいしくて」
私がそう言うと、「そっか。そりゃよかった」と泉ヶ原さんはまたうれしそうな顔をした。"
(瀬尾まいこ著『そして、バトンは渡された』より)
link.amazon/B0emEhOEg
森宮さんは回転寿司に行くと、「こんなふうにどろっと溶けてない新鮮なのを食べたい」と言いつつ、ウニばかり食べている。きっとこのウニを食べたら大喜びするはずだ。
「優子ちゃん、お寿司好きだったんだな」
「普段はそれほどなんだけど、すごくおいしくて」
私がそう言うと、「そっか。そりゃよかった」と泉ヶ原さんはまたうれしそうな顔をした。"
(瀬尾まいこ著『そして、バトンは渡された』より)
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(村上春樹著『辺境・近境』より)
link.amazon/B08TVTkSU
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サーモン・サンドイッチが美味しそうだったのでそれを手にすると、もっと大きなサンドイッチを指差して、怒ったように言う。そんなのを買わないで、これにしなさい。
でも、これが食べたい、と5回ほど主張すると、先生は苦笑し、しぶしぶあきらめる。"
(岡田光世著『ニューヨークの魔法の約束』より)
link.amazon/B0aKQNF1V
サーモン・サンドイッチが美味しそうだったのでそれを手にすると、もっと大きなサンドイッチを指差して、怒ったように言う。そんなのを買わないで、これにしなさい。
でも、これが食べたい、と5回ほど主張すると、先生は苦笑し、しぶしぶあきらめる。"
(岡田光世著『ニューヨークの魔法の約束』より)
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嫌味を込めてもう一度言いながら、こたつテーブルの上におかずを差し出す。かぼちゃと豚肉とまいたけを白だしで煮たものは、すっかり煮崩れてしまっている。
「味は悪くないのよ」
と声をかけても、夫はふんと生返事をしただけで、箸をつけようとしない。"
(山内マリコ著『パリ行ったことないの』より)
link.amazon/B0aS3QMR3
嫌味を込めてもう一度言いながら、こたつテーブルの上におかずを差し出す。かぼちゃと豚肉とまいたけを白だしで煮たものは、すっかり煮崩れてしまっている。
「味は悪くないのよ」
と声をかけても、夫はふんと生返事をしただけで、箸をつけようとしない。"
(山内マリコ著『パリ行ったことないの』より)
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と彼女が提案してきたので、それに従うことにして、僕たちは今日は、いつものジョルダンではなく、青葉通り沿いのDADAというイタリア料理の店に入ることにした。
薄焼きのピザを二枚とパスタを一皿頼み、まずはビールで乾杯をした。一気にグラス半分ほどの量を飲み干した彼女は、「んー美味しい」と目を閉じ、幸せそうな顔をして、鼻の下についた泡を舌先でペロリと舐めた。昨日から気温が少し下がり、秋の気配を感じるようになっていたが、彼女は本当に美味しそうにビールを飲む。"
(乾くるみ著『イニシエーション・ラブ』より)
link.amazon/B0hhrQ4mt
と彼女が提案してきたので、それに従うことにして、僕たちは今日は、いつものジョルダンではなく、青葉通り沿いのDADAというイタリア料理の店に入ることにした。
薄焼きのピザを二枚とパスタを一皿頼み、まずはビールで乾杯をした。一気にグラス半分ほどの量を飲み干した彼女は、「んー美味しい」と目を閉じ、幸せそうな顔をして、鼻の下についた泡を舌先でペロリと舐めた。昨日から気温が少し下がり、秋の気配を感じるようになっていたが、彼女は本当に美味しそうにビールを飲む。"
(乾くるみ著『イニシエーション・ラブ』より)
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とお母さんが聞いてくれた。トーストくらいなら食べられそうかなーと思ったので、そう言うと、お父さん、お母さんは、ふたりして、『ガーン!』という表情で立ち尽くした。お父さんなんて、ガックリと膝をつきそうなくらいだ。どうやら最後の1枚を、さっき、お父さんがキッチンで食べてしまったらしいのだ。
「ごめんなさい。ほんとにごめんなさい」
と申し訳ながっていたが、どうか、そんなに落ち込まないで欲しい。"
(小林聡美著『キウィおこぼれ留学記』より)
link.amazon/B05ogbeGJ
とお母さんが聞いてくれた。トーストくらいなら食べられそうかなーと思ったので、そう言うと、お父さん、お母さんは、ふたりして、『ガーン!』という表情で立ち尽くした。お父さんなんて、ガックリと膝をつきそうなくらいだ。どうやら最後の1枚を、さっき、お父さんがキッチンで食べてしまったらしいのだ。
「ごめんなさい。ほんとにごめんなさい」
と申し訳ながっていたが、どうか、そんなに落ち込まないで欲しい。"
(小林聡美著『キウィおこぼれ留学記』より)
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「人間よりいいもの食べてるわね」
「そうよぉ、こっちなんてコッペパン一つ」
「コッペパンって、最近見る? 給食とかで出たヤツでしょ?」
「裏通りの家族経営みたいなパン屋さんで売ってるわよ」"
(柳美里著『JR上野駅公園口』より)
link.amazon/B08c3SjQn
「人間よりいいもの食べてるわね」
「そうよぉ、こっちなんてコッペパン一つ」
「コッペパンって、最近見る? 給食とかで出たヤツでしょ?」
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(柳美里著『JR上野駅公園口』より)
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(C. Kitchener著、Post Grad: Five Women and Their First Year Out of Collegeより)
link.amazon/B0f404BeJ
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一番近い町——スーパーや郵便局や新聞を売る店やちょっとした小病院や警察のある——は、超スピードのスポーツ・カーで走って1時間半の先にあった。
「肉は、牛2頭を半年に1度買って、町の肉屋の貯蔵室に入れておいてもらって、1ヶ月に1度、足1本とか背中ぜんぶとか、車につんで来て大型冷蔵庫に入れる」んだそうだ。ニワトリは自給自足。豚も自給自足。"
(犬養道子著『アメリカン・アメリカ』より)
link.amazon/B0dvgjhdR
一番近い町——スーパーや郵便局や新聞を売る店やちょっとした小病院や警察のある——は、超スピードのスポーツ・カーで走って1時間半の先にあった。
「肉は、牛2頭を半年に1度買って、町の肉屋の貯蔵室に入れておいてもらって、1ヶ月に1度、足1本とか背中ぜんぶとか、車につんで来て大型冷蔵庫に入れる」んだそうだ。ニワトリは自給自足。豚も自給自足。"
(犬養道子著『アメリカン・アメリカ』より)
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(林真理子著『アッコちゃんの時代』より)
link.amazon/B07nJ5fzS
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「ピスタチオは高かったか……。オシャレだと思ったんだけどな」
つぐみさんが小さくため息をつく。
「でも、イチゴミルクもいいんじゃないかな。より広い層のお客さんに受け入れられそうな気がするよ。せっかくだから、ベリーソースは上にも流したらどうかな」
写真を撮った後は試食となった。"
(長月天音著『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』より)
link.amazon/B0iqAKjvf
「ピスタチオは高かったか……。オシャレだと思ったんだけどな」
つぐみさんが小さくため息をつく。
「でも、イチゴミルクもいいんじゃないかな。より広い層のお客さんに受け入れられそうな気がするよ。せっかくだから、ベリーソースは上にも流したらどうかな」
写真を撮った後は試食となった。"
(長月天音著『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』より)
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(Elizabeth Beller, Once Upon a Timeより)
link.amazon/B09GNrhdi
(Elizabeth Beller, Once Upon a Timeより)
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(Emily Giffin, The Lies that Bind より)
link.amazon/B0fY62x5E
(Emily Giffin, The Lies that Bind より)
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あの親切なギャルソンは一人の力で多くの人に「居場所」を作っているのだ。大袈裟じゃなくて、本当にたくさんの人生を支えているのだ。"
(稲垣えみ子著『人生はどこでもドア リヨンの14日間』より)
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あの親切なギャルソンは一人の力で多くの人に「居場所」を作っているのだ。大袈裟じゃなくて、本当にたくさんの人生を支えているのだ。"
(稲垣えみ子著『人生はどこでもドア リヨンの14日間』より)
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(金原ひとみ著『YABUNONAKAーヤブノナカー』より)
link.amazon/B06hfbDSe
(金原ひとみ著『YABUNONAKAーヤブノナカー』より)
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引き出された台紙の上のケーキを見るなり桃井さんが呟いた。
タルトの表面を覆うのは横にスライスされたオレンジだ。オレンジの断面は、放射線状に並んだ果実が美しい。部長はそれを活かしたのだ。
「そうか、皮ごとコンフィチュールにしたんだね」
「はい。単純にカットをスライスに変えただけでは、生の果皮の苦みが気になります。かといって皮を剝いてしまえば断面の美しさが半減します。そこでシロップで炊いたオレンジを載せて焼くことにしたそうです」"
(長月天音著『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』より)
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引き出された台紙の上のケーキを見るなり桃井さんが呟いた。
タルトの表面を覆うのは横にスライスされたオレンジだ。オレンジの断面は、放射線状に並んだ果実が美しい。部長はそれを活かしたのだ。
「そうか、皮ごとコンフィチュールにしたんだね」
「はい。単純にカットをスライスに変えただけでは、生の果皮の苦みが気になります。かといって皮を剝いてしまえば断面の美しさが半減します。そこでシロップで炊いたオレンジを載せて焼くことにしたそうです」"
(長月天音著『キッチン常夜灯 ほろ酔いのタルトタタン』より)
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ここは全部で12、3人の客に、しょっちゅう呼出しがかかる。黒い幕をくぐって音もなく小母さんが入ってきて、すぐうしろで急に「アスミの何とかエミ子さあん」とどなるので、ジョーズがいつ出るかいつ出るかと思って観ている皆は一斉にギョッとする。[...]
大福とおせんべを食べて、お茶をのむ。主人、ふとんの中から「面白かったか」といったが、起きてきて大福とおせんべを食べなかった。"
(武田百合子著『富士日記』より)
link.amazon/B0cjX5xAF
ここは全部で12、3人の客に、しょっちゅう呼出しがかかる。黒い幕をくぐって音もなく小母さんが入ってきて、すぐうしろで急に「アスミの何とかエミ子さあん」とどなるので、ジョーズがいつ出るかいつ出るかと思って観ている皆は一斉にギョッとする。[...]
大福とおせんべを食べて、お茶をのむ。主人、ふとんの中から「面白かったか」といったが、起きてきて大福とおせんべを食べなかった。"
(武田百合子著『富士日記』より)
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今出川家では禁裏にならって、菓子は虎屋のものを使う。禁中御用を 仰せつかる虎屋は、御所の西にあり、今出川家からも近い。が、母の出してくれる菓子は、町中のもので、 餅の中に餡が入ったものだ。素朴な丸い形をしたものであるが、甘くて大層おいしかった。"
(林真理子著『正妻 慶喜と美賀子』より)
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今出川家では禁裏にならって、菓子は虎屋のものを使う。禁中御用を 仰せつかる虎屋は、御所の西にあり、今出川家からも近い。が、母の出してくれる菓子は、町中のもので、 餅の中に餡が入ったものだ。素朴な丸い形をしたものであるが、甘くて大層おいしかった。"
(林真理子著『正妻 慶喜と美賀子』より)
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(ヴィクトール・E・フランクル著、池田香代子訳『夜と霧 新版』より)
link.amazon/B0gyBZZ2u
(ヴィクトール・E・フランクル著、池田香代子訳『夜と霧 新版』より)
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「パパの場合、なんだかお花じゃないよね」
そんなことを考えて、みんなが棺の中に、パパの好物を入れまくったのだ。
ステーキ肉、味塩、味の素、「丸山海苔店」の海苔、だし昆布、週に3、4回通った高級スーパー「紀ノ国屋」の紙袋、ハイチュウの青りんご味20個、男梅キャンデー、プッチンプリン、ミルクティー……などなど。
火葬すると、食べ物がいい具合に焼かれて、あたりに美味しそうな料理の香りが漂う。"
(梅宮アンナ著『フルコース がんと私と家族の日々』より)
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「パパの場合、なんだかお花じゃないよね」
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ステーキ肉、味塩、味の素、「丸山海苔店」の海苔、だし昆布、週に3、4回通った高級スーパー「紀ノ国屋」の紙袋、ハイチュウの青りんご味20個、男梅キャンデー、プッチンプリン、ミルクティー……などなど。
火葬すると、食べ物がいい具合に焼かれて、あたりに美味しそうな料理の香りが漂う。"
(梅宮アンナ著『フルコース がんと私と家族の日々』より)
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