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右左 大島渚 ロマンポルノ
パトリシオ・グスマンの『チリの闘い』、世界で初めて(革命ではなく)選挙を通して成立したアジェンデ大統領の社会主義政権が、労働者階級に熱狂的に支持されつつも国内右派の反発とCIAの謀略に遭い、軍事クーデターによって非道に潰されるまでを活写したドキュメンタリー3部作。画面の8割が演説、議論、インタビュー、猛烈な街頭運動という熱狂的な人・人・人の巨編で、どうあれ見応えがすごかった。作り手の旗幟が非常に鮮明で、アジェンデ政権とそれを支持する民衆にピッタリ寄り添う視点からナレーション主体で語られてくから内容がとても整理されてて観やすい。反面、たとえば『ゆきゆきて、神軍』みたいなアンビヴァレントなタイプの
August 26, 2026 at 8:20 AM
『少女暴行事件 赤い靴』、親の離婚で茨城の古河から東京に越したけど週末のたびに故郷の彼氏の元に通っている少女が主人公の日活ロマンポルノ。正直絵にはそこまで威力を感じないけど、そもそも「性」が現実よりも過分にデカくなりがちな(だと自分は感じる)このフォーマットにあって、確固として存在するストーリーに濡れ場がきちんとはめ込まれていく感じがとてもいい。高3の夏、都会と田舎の狭間で孤独と寄る辺なさに直面する少女の青春譚としてタイトで無駄がないし、後半の持っていき方がちょっと意外でそこもよかったんだけど、ゆえにラストの理不尽さがなんとも言えない……。
July 11, 2026 at 7:37 PM
先日までyoutubeで無料公開されてた『ヴァージン・パンク』全年齢版(?)を観た。悪のロリコン野郎によって少女時代の自分を模した義体に押し込まれ、意のままに操られる24歳の女性を主人公にしたガン・アクション。『イノセンス』の真摯で深刻な問題提起などどこ吹く風というトーンの悪しき変態サイバーパンク設定に笑った(もちろんバランスは取ってるけど)。アニメ的にはアクションと爆発がすごくて、特にリニアの車輌が爆発するときに飛び散ってる破片の描写に心躍った。ともあれ一番観たいエログロシーンには検閲!が入ってるのでそのうち完全版も〜。それと物語的にはシリーズものの第1話っつう感じで物足りなくはあるかなぁ。
March 29, 2026 at 2:25 PM
川本三郎の『マイ・バック・ページ』、文芸&映画評論で有名な著者が朝日の雑誌記者時代に体験した、1968〜72年の激動の青春時代を綴った本。個人的には『俺たちに明日はない』とかCCRとか成田闘争といった、この時代を象徴するような固有名詞を並べて感興をかき立てんとするスタイル自体は正直微妙で、大文字の歴史ってそれ自体だと読み物にはならんのだなぁと思ったり。一方で著者自身が取材の過程で出会った人について書いてる部分は実体験の臨場感が強くてとても面白く。そうして後半では著者が記者を辞めるきっかけとなった、とある反体制過激派による殺人事件の記述がメインになっていく。変わった角度でいい本だと思った。
March 19, 2026 at 5:29 PM
大江健三郎の発見原稿が読みたくて生まれて初めて『群像』を買ってしまった
March 11, 2026 at 2:48 PM
『絞死刑』。ふたりの女性を強姦・殺害した在日朝鮮人の青年が主人公。彼は冒頭で絞首刑に処せられるんだけどなぜか死なず、そこから彼の犯行動機とアイデンティティの掘り下げがバカバカしいテンションの再現劇として展開されていくブラックコメディ。定義しがたい「死」なるものが守備よく齎されなかったあとのクダクダしい不毛な議論とか、一度死んだ青年をとにかく再度死に追いやろうとする立会人たちの言動のひとでなし感がけっこう好み。
February 17, 2026 at 1:58 PM
『ロリータ』がめっちゃ面白かったのでナボコフ読むかーってなってる。時間が無限にあったらなんでも無限に読みたいね……
January 14, 2026 at 3:45 PM
#2025年の本ベスト約10冊
❶エミリー・ブロンテ『嵐が丘』
❷M・エリアーデ『ムントゥリャサ通りで』
❸蓮實重彦『表層批評宣言』
❹筒井康隆『虚航船団』
❺サルトル『嘔吐』
❻ドノソ『夜のみだらな鳥』
❼矢部嵩『未来図と蜘蛛の巣』
❽犬怪寅日子『羊式型人間模擬機』
❾甲田学人『ほうかごがかり』1~3
➓ジェイムズ・モロウ『ヒロシマめざしてのそのそと』
【もう一冊】カルペンティエール『時との戦い』
December 31, 2025 at 11:24 PM
三島由紀夫『文化防衛論』(ちくま文庫)を読んだ。晩年の文化保守的な政治&言論活動にまつわる読み物を集めた論文集。納得できない部分もあるけど、どうしてそっちを選ぶのかっていう考え方の根拠を細かく語ってくれててわりと納得度は高かった。自分が一番面白かったのは二・二六事件について論じた「『道義的革命』の論理 磯部一等主計の遺稿について」。
November 23, 2025 at 2:55 PM
今年の夏に観たグァダニーノの『クィア』とクローネンバーグの『裸のランチ』のこと思い出してた。両方とも原作者バロウズへの愛が強すぎるあまり、全体のバランスを失してる感があるところがよくもわるくも面白くて、バロウズってそんなみんなから敬慕される対象だったんだーというのが自分的には驚きだった。
November 17, 2025 at 9:28 AM
F・F・コッポラの『メガロポリス』を観て、そういえばリドリー・スコットの『グラディエーターⅡ』も大昔のローマという舞台を借りながらアメリカに代表される現代政治の腐敗と疲弊への憤りを表明するみたいな映画だったよねーと思った。一応前者は共和政ローマの末期で、後者はその後の帝政ローマ期ではあるようだけど、アレゴリーの扱い方はだいたい似ている気がする。
October 14, 2025 at 9:05 PM
塚本晋也『六月の蛇』がかなり良かった。メンタルケア・コールセンターで自殺してしまいそうな人たちを励ましてるけど、自身もまた生活の不充足感で死んだ目になっている女性が、相談者の男性にいかがわしい姿を盗撮されてしまい……。官能サスペンスなんだけど女性主人公の生活の苦痛から徐々に性描写へ進んでいく構成のせいか、男目線のひとりよがり映画にはあまり感じなくて観やすかった。やりたいことやってる盗撮写真の中の彼女のほうが、実態としての彼女よりもとても魅力的に見えるっていうアイデアが単純だけどよかったし。何より青っぽいセピア?みたいな画面と、終始ザンザンに降り続けてる雨と、急激な音の高まりの圧がすばらしい。
September 10, 2025 at 8:45 PM
松本俊夫『映像の発見 アヴァンギャルドとドキュメンタリー』(ちくま学芸文庫)を読んだ。1963年に出版されて注目を浴びたという映画評論本の文庫版。面白かったです。以下雑感。■序盤の章で語られてる、芸術としての映画かくあれかしという主張がいいです。副題のうち、「アヴァンギャルド」=個人・内面に根差したデフォルメを主体とした表現で、「ドキュメンタリー」=社会・状況といった現実世界のあり方をそのまま写し撮る力みたいにやや乱暴にまとめられるでしょうか。両者のいっぽうに偏らず、あくまでその結合を志向し(作者的に言えば弁証法における止揚)、なおかつそれを映像という媒体でしかあり得ない形で表現することを
August 15, 2025 at 7:16 AM
高瀬康司編『アニメ制作者たちの方法 21世紀のアニメ表現論入門』(フィルムアート社)を読んだ。2019年刊でずっと持ってたんだけど、そろそろ読まないと内容古くなっちゃうかと思って。アニメーターの人たちが「『エヴァンゲリオン』4話Аパートの〇〇のところ」みたいな感じで話数&シーン単位で作品の魅力を語ってるんだけど、ストーリー&テーマじゃなくて作画単位で出来を見てるからそりゃあそういう細かい言い方になるのかーという得心感があった。デジタルの導入以降、作業がかなり根本的に変化したアニメの「撮影」についての解説が自分は一番おもしろかった。取り上げられてる作品もまだけっこう馴染みのあるものばかり。
July 22, 2025 at 10:06 PM
『狂った触覚/激愛!ロリータ密猟』を観た。佐藤寿保を観るのは『眼球の夢』に続いて2作目。話がとにかくキツいんだけど一見の価値はあったなーと。主人公はふたりいて、ひとりは夜な夜な女性を誘拐しては部屋で陵辱して写真を撮ることを趣味にしている青年。もうひとりは年齢より若い少女趣味な服装をして都会をさまよっている少女。彼女の父親は(たぶん)何らかの知的障害をわずらっているようで、姉は成人映画館のトイレで売春をしている。そんなふたりが偶然出会い……。一応都会のボーイミーツガール譚ではあって、ふたりが新宿の雑踏をややぶきっちょにふざけながら歩きまわる中盤のシーンが楽しい。
July 20, 2025 at 6:22 PM
超ふんわ〜りとだけど、佐藤究『テスカトリポカ』の粉のバルミロとコシモの距離感って山本英夫『殺し屋1』の垣原雅雄とイチの距離感に似てる気がする。
July 5, 2025 at 11:37 PM
アマプラでヘルツォーク版『ノスフェラトゥ』を観た。ムルナウ、エガースの3つの中では一番好き。野原を馬で駆けたり岩山をよじ登ったりする序盤はほとんど生のロケーションの魅力で押してってる感じ? 室内のシーンでは(ベタな喩えだけど)カラヴァッジョの絵みたいに、顔とか腕とか体の一部にだけ光を当てることで暗闇を裂いて人物の姿が浮かび上がってくるような絵作りをしててそこがすばらしい。ヒロインの名前がミナじゃなくてルーシーなのも◎(そこに「正しさ」はないのかもしれないけど『ドラキュラ』のヒロインとしては蹂躙される側のルーシーのほうが正直インパクトが強いし耽美な魅力があって、彼女の存在ゆえにその後の展開が→
June 5, 2025 at 3:31 PM
3作目のためにタイ・ウェストの『X』をアマプラで観返したんだけど、初見のときとこんなに印象変わることあるんだーって思った。公開んときは「史上最高齢の殺人鬼夫婦?! ギャハハ! 何それ怖〜い! 観てみよ」→「思ったより変わったドラマがあった、けどスラッシャー・ホラーとしては普通かなー」ぐらいだったんだけど。2作目の『Pearl パール』を経たことでこちらの視線が自ずとフラットにさせられた感じがあるし、他者として出てくる側が抱いてる願望を若者目線から不気味かつ恐怖の対象として描いてるところも巧みだなーと。老いと若さ、セックス、自主製作ポルノ映画っつうテーマ組みも面白い。
June 4, 2025 at 7:44 PM
正直Twitterよりこっちの方が自分の字数には合ってるのよね(ああでもないこうでもない言いたいから)
May 24, 2025 at 2:29 PM
『少女娼婦 けものみち』、同世代のボーイフレンドとかなり歳上のトラック運転手、2人の男と関係を持った主人公が妊娠してしまい……という神代辰巳の三角関係ロマンポルノ。正直自分はまあまあだったかなー。でも、男にも女にもセックスへの興味→飽くなき肉欲→生活していく必要性……というものは等しく降りかかってきて、そんな中で愛だの真心だの言ってても最終的にはしょうがない。そういう身も蓋もない乾いた実感を持ってるからこそ、内田裕也演じるトラック運転手がかっこよくはないけど魅力的な他者として見えるのかなーというのは思った。それと“飛べ飛べカラス”みたいなテーマ曲と、海もいいね……。
May 23, 2025 at 4:03 PM
『宇能鴻一郎の濡れて打つ』を観た。こないだ買った金子修介『無能助監督日記』を読む前の予習。彼も日活ロマンポルノの現場で映画作りの腕を磨いたクチで、これが監督デビュー作だそう。お蝶さま🎀という憧れの先輩がいるテニスクラブ🎾に所属したひろみが、テニスと恋愛(つまりセックスですな)の間で懊悩しつつも念入りに両方をこなしていく姿を描く、『エースをねらえ!』のエロパロコメディー。物語の厚みとかはゼロなんですけど、最初から最後まで徹底して下らなく、絡みのシーンもほどほどにエロく、でもパロディ元があるおかげで話がぐずぐずにならない。んでもって、
May 4, 2025 at 10:30 PM
本屋に新刊小説を探しに行ったけど見つからず、代わりに別冊宝島編集部 編『昭和の右翼と左翼』(宝島SUGOI文庫)を買った。
March 22, 2025 at 11:10 AM
『ユンボギの日記』、韓国に暮らすイ・ユンボギという10歳の少年の思いを、スチール写真(静止画)+ナレーションで語った短編。実在の日記が元になってて、少年の独白はその本文から取ったものだそう。内容は切実だけど語り方が直球すぎてそんなに好きではないかなー。でも雑踏の声や軍靴の足音といった音のつけ方は面白かった。
January 4, 2025 at 7:27 AM