かどやひでゆき
kadoya.bsky.social
かどやひでゆき
@kadoya.bsky.social
P.ジェリ・クラーク著『カイロの死せる精霊』を読みました。

20世紀初頭のエジプトが舞台。スーダンの神秘主義者アル=ジャーヒズによって精霊(ジン)の棲む異世界との扉が開かれて40年、魔法と科学の融合により急速に発展したエジプトは世界列強のひとつに数えられていた。
超常的な事件を扱う魔術省のエージェントたちの活躍を描く。

壮大な歴史改変ファンタジーでありながら、女性解放運動が起きた当時の世相や、精霊と共存する人々の暮らしまでリアルに感じられる緻密な世界観が魅力のシリーズです。

本書は前作『精霊を統べる者』の前日譚とスピンオフを収録していますが、こちらから先に読んでも楽しめますよ。

#読了
September 13, 2026 at 4:32 AM
イアン・ロジャーズ著『魔都シカモア』を読みました。

主人公はパソコンの電源も入れられないクラシックな私立探偵。ガミガミと小言を言われながらも、別れた元妻を事務所アシスタントとして雇ってしまう愛すべきハードボイルドです。

舞台は現代のカナダで、70年以上前から世界中に異次元への出入り口「ポータル」が出現しているSFの世界。そして、その先には〈ブラックランド〉と呼ばれる暗黒の魔界があり、吸血鬼や人狼が棲むダークファンタジーの世界だった……。

よくもまあ詰め込んだものだと感心しますが、バランスよく、しっかりと探偵ミステリーに仕上がっていました。軽口を叩く探偵がお好きならお勧めですよ。

#読了
July 11, 2026 at 2:09 AM
竹内康浩氏の著書『謎ときエドガー・アラン・ポー』を読みました。

本書はポーの短編「犯人はお前だ」(Thou Art the Man)を題材に、鏡像や双子関係という考え方を使ってポーのトリックのメカニズムを解き明かします。「犯人はお前だ」の全文が掲載されているので、未読の方もご安心を。
メカニズムに照らし合わせてパズルのように読み解くと、ポーが仕掛けたもう一つの完全犯罪が浮かび上がります。

「Thou Art the Man」とは旧約聖書のナタンの言葉。叱責を受けたダビデは罪を告白して神の赦しを得ますが、同じように罪を告白した真犯人はなぜ死んだのか。その疑問の答えが見つかりました。

#読了
June 14, 2026 at 3:06 AM
山田七絵氏、内藤寛子氏の編著『アジア・トイレ紀行』を読みました。アジア経済研究所の職員20名がアジア各地で出会った「トイレ」にまつわるエッセイ集です。

面白いもので、ひどいトイレのエピソードはなぜか盛り上がります。本書にも過酷だがどこか可笑しい体験談が出てきますが、興味深いのはイスラーム圏での合理的なトイレの考え方。これには関心します。

それにしても、トイレとは実に大きな期待を背負わされています。
まずトイレがあり、ドアがあり、洋式便器と便座があり、水洗式で紙を流せる水圧があり、ウォシュレットがあり故障しておらず、清潔で臭くなく、紙もある。
これを当たり前と思ってはいけませんね。

#読了
May 23, 2026 at 3:49 AM
小柳由紀子氏の著書『名画のインテリア』を読みました。

絵画の解説といえば中心的な人物についてや、画家自身の背景などが多い印象ですが、本書では文字通りの背景に描かれたインテリアに注目し、用途や当時の風習、その素材までとても詳しく解説しています。

例えば表紙の「刺繍台の前のポンパドゥール夫人」で本書が焦点を当てるのは、右下に描かれた白い楕円のプレートがはめ込まれた家具。このプレートには色名が書かれており、刺繍糸を色分けしておく収納ケースのようです。

改めて観ると家具や小物までしっかり描き込まれていることに驚きます。これまで漫然と鑑賞していましたが、絵画の新しい楽しみ方を知りました。

#読了
May 16, 2026 at 4:00 AM
井上真偽氏の『アリアドネの声』を読みました。

物語はシンプルで、地震により大型施設の地下深くに取り残された盲ろうの女性を、一台の災害救助用ドローンで救出を試みる救出劇です。
目が見えず、耳も聞こえない相手にどうやってドローンの存在を伝えるのか。どうやって安全な場所まで誘導するのか。次々に立ちはだかる課題を創意工夫で解決する展開は爽快ですね。

そして、本書の醍醐味は何と言っても二周目。主人公たちの見えない場所で本当は何が起きていたのかを想像しながら読むと、そういうことだったのかと息をのみます。

難しい言葉は無く、心地よい驚きと温かいメッセージがあるので子どもの読書にもお勧めです。

#読了
May 9, 2026 at 6:17 AM
今村翔吾氏の著書『書店を守れ!』を読みました。

タイトルの「書店を守れ!」とは著者自身を鼓舞するため、自らに命じている言葉とのこと。実際に著者は多くのアイデアを提案し、自ら書店を経営するなど行動を起こしており、本書はその記録でもあります。

ところで、私は時代小説をあまり読まないので、著者の今村翔吾氏の作品にはNetflixの『イクサガミ』で初めて触れました。ドラマは見応え十分で、原作の小説を読みたくなりますね。映像から入り、原作の本に戻る。これも本を売る見事な戦略です。

一方、書店で本が売れるかは別の問題。紙の本自体が、書店で直に手にしたくなる魅力を高める必要がありそうですね。

#読了
May 2, 2026 at 8:15 AM
マイケル・ロブ著『英国ブックセラーの歴史』を読みました。

1476年にウィリアム・キャクストンがイングランドに最初の印刷機を設置して以来、約550年にわたる書店と出版社の栄枯盛衰をまとめた歴史書です。

印刷技術の向上により誰もが読書を楽しめるようになりました。この文化は書店や出版社の努力によって支えられてきましたが、近年はその維持に限界が見え始めています。活字を楽しむ文化を今後も守り続けるには、本を愛する読者自身の協力が不可欠なのかもしれませんね。

本書は英国を中心とした内容ですが、書店や出版社が直面している課題は日本も似た状況であり、何かできないかと考えさせられる一冊でした。

#読了
April 26, 2026 at 5:06 AM
馬場敬信氏の著書『歴史をたどってしくみを学ぶコンピュータ入門』を読みました。

ハードウェアの面では、コンピューターが動作する仕組みを「スイッチのかたまり」という基本原理までさかのぼって説明しています。複雑なものを複雑なまま理解するのは大変なので、まず原点に立ち返るという切り口は大切ですね。

ソフトウェアの面では、CPUが機械語をいかに処理するかをとても分かりやすく図解しています。もっとも、今の時代には知らなくても困らないのですが、もしもC言語を学ぶなら一読の価値があります。難所とされるポインタも、きっと難なく理解できますよ。

教養として中高生にもお勧めできる一冊です。

#読了 #技術書
April 18, 2026 at 10:22 AM
塩崎省吾氏の著書『カップ焼きそばの謎』を読みました。日本を代表する焼きそば研究家による、カップ焼きそばのルポルタージュ。焼きそばの謎シリーズ三部作の完結編です。

北海道出身の私は当然ながら「マルちゃん やきそば弁当」を食べて育ちました。一方で、東日本では「ペヤング ソースやきそば」が、西日本では「日清焼そばU.F.O.」が圧倒的に人気。このような地域性が如何に生まれたのか不思議でしたが、そこにはメーカーの成り立ちや地理的な理由があったのですね。

カップ焼きそばの発祥や各メーカーの販売戦略など、過去の文献や関係者へのインタビューがまとめられており、歴史書としても価値ある一冊でした。

#読了
April 15, 2026 at 12:35 PM
高谷再氏の『この罪を消し去ってください』を読みました。第10回ジャンプホラー小説大賞で4年ぶりの金賞を受賞した作品です。

その女子高校ではAIが生徒をサポートしていた。
親友の月島藍奈が転落死して1年半。折原夜空の前に現れた新入生は藍奈の妹・果穂だった。果穂は姉と交わした〈お茶会〉と呼ばれる生徒会に入る約束を果たすため奔走する。一方、藍奈の死の真相を知る上級生たちは果穂を排除すべく行動を起こす。
AIは妹の「サポート」を開始した。

『2001年宇宙の旅』のHAL9000に代表される古典的なAIの恐怖を描いていますが、そこに学園ものと百合要素を組み合わせたのは異色で目新しいですね。

#読了
April 11, 2026 at 7:56 AM
久永実木彦氏の『雨音』を読みました。

大学で起きた銃乱射事件により多くの仲間を失った映画同好会の生還者が、事件をドキュメンタリー映画として記録することを決意する。取材を兼ねて出席した追悼式に現れた女性は丈の長い黒いワンピースに真紅の女優帽という場違いな服装で、立ち去ったあとには挑発するような一発の銃弾が置かれていた。

物語の発端こそ衝撃的な事件ですが、本書は切ない恋愛小説でした。今井喬裕氏の装画は、儚いヒロインをよく表現しています。
最後まで淡々とした文章の運びがとても印象的で、ヘミングウェイの『老人と海』を思わせますね。

読了後にプロローグを読み返すと、なるほどと唸りますよ。

#読了
April 4, 2026 at 4:45 AM
ブライアン・カーニハン著『カーニハンのUNIX回顧録』を読みました。

コンピューターに特段の関心がなければ、UNIX(ユニックス)という名前をご存じないかもしれません。UNIXとはOSの名前で、有名なOSであるWindows(ウィンドウズ)はきっとご存じでしょう。

あまり知られていないUNIXですが「世界の全てのスマホを動かしているのが、実はUNIX系のOSなんです」と言ったら、驚かれるでしょうか。

本書は、人知れず世界を支えるUNIXがどのような環境で生まれ、何が革新的だったのかを、カーニハンら当時の開発者たちの言葉で記録した歴史書です。
現代においても学びの多い一冊でした。

#読了
March 29, 2026 at 6:15 AM
田中空氏の『忘らるる惑星』を読みました。

脳から記憶を読み取る技術が確立した未来。人間による裁判はなくなり、AIが瞬時に正確無比な判決を下すようになっていた。AIの判決を人間自身の目で検証する仕事をしているミカサは、発生日時に確かにその場にいて目撃しているはずの殺人事件のレポートを目にする。覚えのないミカサは検証を開始するが、直後に命を狙われる。

実写映像としてイメージすると違和感のある世界観なのですが、少年マンガとしてイメージするとすんなり入り込めました。調べると著者は少年ジャンプ+で連載を持つ漫画家さんらしく、なるほど納得。

夏休みの子ども向けアニメ映画のような一冊でした。

#読了
March 22, 2026 at 8:00 AM
スティーヴン・キング著『ランニング・マン』を読みました。

近未来。
「この人と生涯を添い遂げる」。伝統的な結婚の誓いを立てたために体制側から反社会的人物と見なされたベン・リチャーズは職にあぶれ、肺炎で苦しむ一歳半の娘を医者に診せられずにいた。ついに治療費を工面するため生存率0%の逃走ゲーム「ランニング・マン」に参加することに。

シュワちゃんの映画『バトルランナー』の印象が強い本作ですが、原作は詩人ユウェナリスの言う「パンとサーカス」で飼いならされた民衆の中から立ち上がり、体制側と戦う普通の人々を描いた物語でした。

眉をひそめる痛々しい描写があり、苦手な方はご注意を。辛かったあ。

#読了
March 20, 2026 at 10:08 AM
内藤了氏の『凶変』を読みました。警視庁異能処理班ミカヅチシリーズの第8弾です。

警視庁異能処理班ミカヅチとは、警視庁本部の地下を間借りしている警察庁の研究施設――というのは表向きの扱い。実際は怪異による事件を一般人に知られないよう隠蔽し、怪異の痕跡を消すための組織です。いわば怪異版の『メン・イン・ブラック』ですね。

心優しい霊能力者の青年、安田怜がミカヅチのメンバーとなって1年。シリーズはいよいよ佳境に入り、「そのとき」は目前に迫っているようです。
警視庁本部庁舎の地下三階にあり、ミカヅチの使命のひとつとして守り続けている「扉」の謎も一部明かされました。
次巻 ついに、扉が……?

#読了
March 15, 2026 at 2:17 AM
トム・ミード著『空に浮かぶ密室』を読みました。『死と奇術師』に続くジョセフ・スペクターシリーズ第2弾です。

1938年のロンドンが舞台。観覧車の中で射殺された夫と、銃を手に犯行を否認する妻。衆人環視のマジックショーで「魔法の箱」から出現した第二の死体。鍵のかかった部屋で、拳銃を手に接着された男と、第三の射殺体。
解決の手がかりはすべて本文中にある。

ディクスン・カーやエラリー・クイーンを思わせる黄金時代風の推理小説でした。解答編で手がかりとなる箇所のページ番号が注記されているのは現代的。

苦笑いするような強引なトリックでも、推理ゲーム、頭の体操と割り切って楽しむのが正解ですね。

#読了
March 8, 2026 at 5:42 AM
内藤了氏の『SOUL』を読みました。鳴瀬清花シリーズの第7弾です。

死刑が確定した後も反省の色を一切見せない西口治ですが、ある写真を見た途端に殺人の余罪を告白し、教誨師に死者を供養してやってほしいと依頼します。
西口の心に生まれたのは贖罪の念か、それとも……。

「神隠しに冥婚に人狼に雪女、山の神に吸血鬼、それで今度は幽霊ですか?」とは作中のセリフ。オカルトや怪異に見えて実は違うのが本シリーズの面白さですが、今回は本当に怪奇現象が起こったように見えますね。

シリーズ過去作と比べて本作は多くの謎が残り少しモヤモヤします。
ですが、読了後には誰かと考察で盛り上がりたくなる一冊でした。

#読了
March 1, 2026 at 10:06 AM
キャリー・ハート著『クイックシルバー 上・下』を読みました。近年アメリカで人気の「ロマンタジー(ロマンス×ファンタジー)」と呼ばれるジャンルの作品です。

謎の金属「クイックシルバー」を通って妖精や精霊が暮らす異世界へ渡った人間の女性セアリスは、妖精とヴァンパイアとの戦争に巻き込まれます。妖精のキングフィッシャーは戦争の切り札としてセアリスを利用しますが……。

読み進めると二人が理由もなく惹かれ合うように見えて違和感を覚えるかもしれませんが、最後に二人の関係をめぐる壮大な仕掛けが明かされます。

青依青さんの幻想的な装画の雰囲気に反して性描写はかなり過激なので、苦手な方はご注意を。

#読了
February 28, 2026 at 5:37 AM
ショーン・バイセル著『ブックセラーズ・ダイアリー』1〜3巻を読みました。スコットランド最大の古書店を営む店主による日記シリーズです。

著者はクリスマスの帰省中にふらりと立ち寄った古書店を、ローンで衝動買いしてしまった変わり者。周囲もまた一癖ある人物ばかりで、あいさつ代わりに店主へ中指を立てる店員、お手製のステッキと本を物々交換する常連の入れ墨男、一見の客までもが実に個性的。
本シリーズは、そんな古書店でのリアルな日常を皮肉の効いたぼやきとともに綴ったものです。

なぜか読んでしまうのは、インターネットの黎明期に流行した個人のウェブ日記を追いかけるような面白さにあるのかもしれません。

#読了
February 23, 2026 at 5:54 AM
鈴木潤氏の著書『Jホラーの核心』を読みました。映像文化論、メディア論の研究者であり、筋金入りのJホラー愛好家による論考です。

世界的にも評価が高く、『変な家』や『近畿地方のある場所について』などのヒットで再び注目を集めているJホラー。本書では、その日本独特の恐怖の仕組みを「ビデオ」「家」「女性」「都市伝説」「フェイクドキュメンタリー」というキーワードから分析しています。

特に重要なのは、視聴者に「当事者意識」を持たせる工夫なのだと理解しました。つまり「ビデオを観ると呪われる」というビデオを観ている自分は、果たして安全な場所にいるのだろうか、という不安感を煽るわけですね。なるほど。

#読了
February 21, 2026 at 9:07 AM
Reposted by かどやひでゆき
@kadoya.bsky.social 氏に触発されて、まずは第1弾から。信は『まこと』と読むのですね。

すでに第一線を退いた学者が、あるきっかけから人類の存続を脅かす危機に立ち向かうことに。主人公が10代の少女ならありがちな設定ですが、シニアならではの苦労が滲み出る展開はきわめて新鮮。『シニアだけに新鮮』なんか不思議な語感。

フィジカルが要求されるシーンは若者の助けを借りたり、三人寄れば文殊の知恵よろしく老人三人が額を突き合わせて謎を解いたり。何より研究の虫たる主人公の魅力が随所にみられて、とてもおもしろかったです。

#メデューサの首
#微生物研究室特任教授・坂口信
#内藤了
#読書
内藤了氏の『アポピスの復活』を読みました。微生物研究室特任教授・坂口信シリーズの第2弾です。

いわゆるバイオハザードもので、未知の有害な微生物と戦う研究者たちを描いています。"微生物研究×ホラー"という謳い文句ですが、いたずらに恐怖を煽るような演出やオカルト的・超常的な展開はなく、リアリティーのあるサスペンス・ミステリーですね。

主人公は66歳になる地味な学者。全責任を一身に負い、国民を、大切な人たちを守るために奮闘する。おじさんたちが活躍する一冊です。

シリーズ未読の方は、ぜひ第1弾の『メデューサの首』から読むことをお勧めします。その方が最後の展開で、より胸が熱くなりますよ。

#読了
February 15, 2026 at 2:35 AM
五条紀夫氏の『殺人事件に巻き込まれて走っている場合ではないメロス』を読みました。名作「走れメロス」にミステリーとコメディを融合させた一冊です。

プロットは原作どおりですが、本作のメロスはそうでなくとも忙しい処刑までの三日間に次々と殺人事件に出くわします。メロスはミステリーの王道トリックを解きながら、友のもとへと走ります。

思えば「走れメロス」には多くのオマージュやパロディがありますね。元を辿れば古代ギリシャの伝説「ダモンとピュティアス」に行きつきますが、友との約束を果たすため命をかけて走る話は、いつの時代でも心を打つのでしょう。

もし私ならば……戻らずに将棋を指しているかなあ。

#読了
February 15, 2026 at 5:14 AM
関元聡氏の『摂氏千度、五万気圧』を読みました。第13回ハヤカワSFコンテストの優秀賞受賞作です。

猛烈な温暖化で灼熱地獄と化した未来の地球。各地に突如出現した繭のような大規模シェルターによって、全人類の0.5%が辛うじて生き残った。人類は環境回復の見込みがない地球を捨てて火星の地球化を試みるが、それには高温環境に適応した女系民族〈結晶の民〉が作り出すある物質が大量に必要だった。

硬派なSFでありながら、まるで神話のように壮大な世界観でした。再読のたびに新たな発見があり、構成の緻密さには最後の1ページまで驚かされます。

もしも続編があるならば、まだまだこの世界を堪能したいですね。

#読了
February 7, 2026 at 10:07 AM
辻村七子氏の『博士とマリア』を読みました。古びた医療船で助手ロボットのマリアIIと診療の旅を続ける、ちょっと偏屈な博士のお話です。

物語の舞台は、温暖化による海面上昇で陸地の多くを失った24世紀。世界は超巨大企業に支配され、労働者は劣悪な環境での暮らしを強いられています。

家族や仲間、大切な何かを守りたい。命を賭して「生き続ける」ことを選んだ人々を医療で支える博士を軸に、彼と関わる人々の視点で描かれた連作短編となっています。隙間時間の併読にも丁度良いですね。

博士とマリアIIの関係性の秘密も、意外性があってとても面白い。

ディストピアな世界観が苦手な人でも楽しめる一冊でした。

#読了
January 31, 2026 at 3:03 AM